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【Vol-16】
ある日届いた、
忘れられない手紙

美容外科医となって20年以上が経ち、これまでにたくさんの患者様にお会いしてきました。今回はそんな患者様からいただいた手紙にまつわる話をしたいと思います。それは僕にとって忘れることのできない一通の手紙でした。

美しい写真は楽しかった記憶とともに

ある日届いたお手紙は、患者様の娘さんからのものでした。

その患者様はモニターとして若返りの施術を行った方でした。当時50代後半だったのですが、顔の脂肪がたるんだ分、頬が痩せて老け顔になっていたため、たるみ部分の脂肪除去と頬への脂肪注入、糸によるリフトアップを行い、「見た目が若返っただけではく、気持ちも明るくなった」ととても喜んでいらっしゃいました。

実はその当時、フジテレビで大人気だったバラエティ番組「笑っていいとも」で、整形美女が誰かを当てるコーナーがあったんですね。僕のクリニックに出演依頼があり、その方にお話したところ快く出演してくださることになりました。放送当日、僕もTVを見ていたのですが、とても楽しそうにタモリさんはじめ出演者の方とも話されていて、いつまでもきれいでいたいとおっしゃっていた患者様の姿を観て、僕もすごくうれしかったのを覚えています。

ところがその時から10年ほど経って届いた手紙には、患者様であるお母さまががんになり、残念ながらもう先が長くないと綴られていました。そして以前手術をした後に撮った、きれいになった時の写真を遺影として使用したいので、使わせていただけないかと書かれていたんです。

病気のおかげでかなりやせ細ってしまったこともあり、ご本人も娘さんとしても最後は美しい姿を残したいということでした。もちろん僕ができることがあるならと、積極的で明るい性格だった患者様を思い出しながら、当時の写真を送らせていただきました。

人生の最後は一番きれいな自分で

それから1か月ほどして、娘さんから届いたのは患者様が亡くなったという知らせでした。ただ、写真が届いた時にお母さまがとても喜んでいらしたこと、そしてその写真を見ながら、かつて番組に出演した時の話で盛り上がり、つかの間の楽しい時間を過ごすことができたと書かれていました。

自分が関わった患者様が亡くなったことは、本当に寂しくつらいことでした。ただそのお手紙をいただき、もしかしたらその方の人生に少しはお役に立てたのかもしれない。もしそうであるなら、本当にこの仕事をやってきて良かったと心から感じました。

あの時の姿を、人生最後の写真にしたいと患者様に思っていただけたこと、そしてそれをお手伝いできたことは僕の一生忘れられない出来事になりました。

今も多くの患者様からメールやお電話をいただきますが、「先生のおかげで人生が変わりました」という言葉をいただくことも。でも逆に僕自身が、患者様のその言葉に支えられているんです。患者様からのたった一通の、いや、たった一言が、僕がこの仕事を続けていける大きな励みになっていると、心からありがたく感じています。