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【Vol-02】
なぜ僕は
医師になったのか

なぜ僕は医師になったのか

コラム2回目の今回は、自己紹介のつもりで、なぜ僕が医師になったのかを話そうと思います。

クリニックでは患者様のお話を聞くことが中心なので、自分自身のこと、特にプライベートなことはまったくお話したことがないと思います。だから、もしかしたらみなさんに怖い先生とか思われているかも? もしこのコラムで僕がどんな人間なのかを、ほんの少しでもわかってもらえればうれしいと思っています。

きっかけはボクシング?!

代々医師の家系で医師の道へ…という方も多いですが、僕の実家は商売をやっていたので、まわりに医師となる家族はいませんでした。ただ自分で言うのも変ですが、勉強がちょっとできたので進学校に進むことに。進学校ですから頭がいいなら医学部へという雰囲気はありました。でも当時は自分自身何かに

そんな僕が、高校生になってなんとなく憧れたのが、強くなること(笑)そこで始めたのがボクシングでした。街のボクシングジムに入り、通ううちにハマってしまい、一時期は本気でチャンピオンを目指していたほど激しいトレーニングも続けました。もともと何かに没頭すると一直線になるタイプなのですが、初めてなりたい自分を思い描けるものに出会えた気がしたんです。でも当り前ですが、現実はやっぱり厳しい…。2年以上続けたのですが、世界を目指す力がないことを思い知らされました。

神棚の手紙

目指すものがなくなり、喪失感というか一気に気が抜けちゃったんです。ボクシングばかりで勉強もしていなかったし、一時期はちょっと荒れて友達の家を点々として実家に帰らなかった時も。そんなある日、久しぶりに家に帰ったら、神棚に手紙がそっと供えてあったんです。見たら「息子を助けてください」と両親が神様に書いた手紙でした。親から直接どうこうしろと言われていなかったので、親の気持ちなど気にもしていませんでした。でもそれを見て、やっと自分のダメさに気がついたんです。今でもその話をすると、涙が出てきちゃいますね。

神棚の手紙

ちなみに当時一緒にトレーニングしていた後輩が、後日世界チャンピオンに。ボクシングの夢は彼が叶えてくれました。

世界チャンピオンと医師の夢

当時僕があこがれていたチャンピオンが、メキシコのサルバドル・サンチェス。9連続防衛を果たしたWBCフェザー級王者ですが、わずか23歳で世界王者のまま自動車事故で亡くなってしまったんです。実は彼はもともと医者になりたかったそうで、ボクサーになったのも、その資金を貯めるためだったんですね。残念ながらその夢がかなうことはありませんでした。そんな世界チャンピオンになったのに医師になれなかった彼と、自分がちょっとオーバーラップしたんです。僕はボクシングではチャンピオンになれない、ならば医者を目指そうと。

親に進学校に入れてもらったのに、これまではボクシングとか好き勝手な事ばかり。そんな僕でも両親はそっと見守ってくれていました。これからは人のためになることをしなければと、自分の進むべき道がやっとはっきりわかった感じがしました。

それともう一つ、手塚治虫の「ブラック・ジャック」が好きだったというのもあったかも。医師としての飛びぬけた技術を屈指して、お金の本当の価値がわからないないような人には高額な金額を請求し、かたやお金がない人は無償で助ける。かっこいいですよね。その考えは、医師にになった今「ボランティア医療」という形で続けています。

結局高校3年生の時、医師になろうと自ら心に決めたのですが、やっぱり現実は甘くない(笑)受験には苦労しましたが、夢を抱いて医学の道に進みました。

さて次回は、医大に進んだ僕が、なぜ美容外科を選んだのかをお話したいと思います。