豊胸手術後の脂肪壊死について
脂肪注入豊胸をすると、注入した脂肪には周囲から栄養分が届けられますが、この時に充分な栄養を受け取ることができた脂肪細胞は、その場に生着することができます。
一方で、栄養が不充分であった細胞は死んでしまいます。これが、脂肪壊死です。
通常、壊死した脂肪細胞はマクロファージと呼ばれる細胞に食べられて吸収されますが、稀に壊死した細胞の周囲に「被膜」と呼ばれるカプセルができてしまうことがあります。被膜に囲まれた脂肪組織は、マクロファージに吸収されることなく、その場にしこりとして残り続けてしまうのです。
脂肪壊死が起きると…
被膜に包まれた脂肪分のことをオイルシスト(油性のう胞)と言いますが、これ自体が人体に悪影響を及ぼすことはありません。
脂肪注入を行った方の乳房をMRIで検査したところ、極めて小さなものを含めると約半分(47%)の方にのう胞を認めたとの報告があります。しかし、ごく稀に大きなのう胞ができてしまうと、痛みを伴ったり、周囲に炎症を起こしたりする可能性があります。このような症状が出た場合や、外観からもしこりが目立って気になる場合は、のう胞を取り出す処置をします。
また、オイルシストの周囲の被膜は徐々にカルシウムが沈着し、石灰化を起こして大きくなってくることがあります。石灰化を起こしたのう胞がなくなることはなく、このような場合ものう胞の除去が必要です。石灰化が軽度の場合には3㎜程度の切開を行い、カニューレと呼ばれる細い管を挿入してのう胞を吸引します。石灰化が進行している場合にはもう少し大きな切開を行って、のう胞の摘出手術を行います。摘出の際に、切開は腋窩(わき)のシワや乳房の下のシワ、乳輪周辺など目立ちにくい部位で切開するため、傷跡を目立ちにくくすることが可能です。
対策
脂肪壊死を起こさないためには、まず脂肪吸引によって良質な脂肪を採取することです。
また、コンデンスリッチ豊胸やピュアグラフト豊胸などにより、健全な脂肪を注入するという方法もあります。